狐に嫁入り!?


それでも言われた通り、口と目を閉じるとすぐに耳にものすごいスピードで風を切る音が聞こえてきた。

ウタクが移動しているのかな。

目を開けたくても風圧で開けられないほど。

持っていこうと思った荷物も、掴むことができずに結局そのまま神社に置き去り。



やっと風が止んだ、そう思うと同時にウタクの手が離された。



「着いたぞ。目をさっさと開けたらどうだ?不細工で見ておれん」


見ておれんって……それなら見なくていい!

しかもやっぱり抱き締めてもらってなきゃ風で吹き飛ばされてたと思うんだけど。


「あやかしの世界行く直前でからかうなんてひどくない!?」

「慌てふためくお前が悪い」


目を開けて一番にウタクをじっとりとした目で見たけど、サラリとかわされてしまった。
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