狐に嫁入り!?


腹痛も落ち着いたし、早くトイレから出ようと体裁を整える。


「辛くなって、怖くなって人間界に戻りたくなれば、森へ行くことだ。あそこから人間界へ戻れるから」

「森って……集落の入り口近くにあった森?でもあそこには妖狐がいるって……!」


トイレから出ると皐月さんの姿はなかった。

足音一つなく、素早く去って行ったのだ。


……本当に人間界に戻れるの?


ウタクには何度も騙された。

皐月さんには良い印象はないけど……私がいなくなることを望んでいるなら……。


「どっちにしろ……願いを叶えてもらうまで……私は戻ることできないんだってば」


そう、人間界へ帰ることはできないんだ。

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