狐に嫁入り!?
「実雨ちゃんは俺がもらう!」
ナライの声が静まり返った森に響く。
私は「もらう!」と言われて唖然としてしまい、ただナライを見ることしかできない。
「……ぼ、坊ちゃま……!やっと人間に興味を持ったと思ったら……よりによって狐の嫁……」
ヤマジは頭を抱えてため息をついていた。
なんとなくだけど、狐と狸が相性悪そうな気はしてた。
狐と狸っていうよりは、ウタクとナライが……かもしれないけど。
「へぇ、もの好きな奴だな。だが、コイツはもう俺の玩具だ」
「が……玩具!なんて言い方しやがるんだ!そうか……わかったぞ!」
表情も変えず余裕たっぷりのウタクから目を離すと、ナライは私に近づいてきて両肩を強く掴んだ。