狐に嫁入り!?


「幸せになれよ?」



深く、熱を帯びた瞳に真っ直ぐ見詰められて……


「……うん」


私は小さく頷いた。


「本当に辛くなったら俺んとこ来い」

「ありがとう」

「あとさ、ウタクの性格ちょっとでも優しくしてよ」

「そ、それは無理だと思う!」


私が慌てて答えると、ナライは「いーや、出来るよ!」なんて言って、切なげに笑った。


そして始めに降り立った中庭まで戻ると、身を屈めて自身の周りに風を集め始めた。


「そいじゃ、俺帰るから!」

「待て、狸」

「おわっ!」


ウタクがナライの首根っこを掴んで、引っ張り立たせる。


……どうしたの!?

ウタク!
< 256 / 515 >

この作品をシェア

pagetop