歌姫(仮)
時間は早いもんで、ガールズトークに花を咲かせていたらあっという間に1時間半経っていた。
『おわった~』
鏡に写る自分はもう完全に雛美結衣の面影はなかった。
ツケマを着けてやや濃い化粧に緑のカラコン。
髪の毛はツインテールにミックス巻き。
ホントにフランス人みたい…
こんなにも人を変えれちゃう宮内さんと村上さんと久保さんはすごいと思う。
「ありがとうございますっ!今から楽屋周りしてきます」
私はメイク室から出て、一回自分の楽屋に向かった。
楽屋に入ると、城田さんが用意しといてくれたリストを持って共演者さんの楽屋周りを始めた。
最初は緊張して何を話せばいいか分からなかったが、最近は大分慣れてきて、中には前共演した人とかと話し込んでしまうこともある。
リハまであと5分という時間で楽屋周りはおわった。
いくら慣れてきても疲れるものは疲れる訳で…
さっきの気ダルさがまた襲ってきた。
あーやばっ
あと5分でリハなのに…
私は気持ちを切り替えるために冷蔵庫にあった500mlの水を一気に半分くらい飲んで頭を無理矢理リセットさせた。