入学して一週間経った。

昼休み、いつもの様に教室で話していた。

「道上さ〜ん。なんか、三年生の人が呼んでるよ。」


クラスの人にそう言われドアの方に行くと、
そこには、あの生徒会長が立っていた。

『あの、何の用ですか?』

近くで見るその人は、ステージで見た時よりもカッコよく見えた。

「ごめんね。急に呼び出して。あの…これ。」

そう言われて渡されたのは、一枚の紙。

私はそれを手に取り、見てみる。

ひっくり返すと、それは一枚の写真だった…。

って、これ私じゃん。


写真には桜の木を見上げている、私が写っていた。


「あげるよ。それ。」

『これ、入学式の時の……ってか、何で私の写真なんか持ってるんですか?』

「桜の木の写真撮ろうとしたら、君がいたから…。つい、撮っちゃった。」

その人はちょっと、はにかんで笑う。

『あ、そ、そうですか…』

思わず私の頬は赤く染まる。

「あの…名前、何てゆうの?」

『え…さくら。』

「さくらね。俺は流華。流華って呼んで良いから。」

そう言って流華は私に手をさし出した。

『あ…はい。』

私も手をさし出すべきなのか迷ってたら、
逆に流華に手を握られ「よろしくね。」って言われた。

『よろしくです…』

そして、流華はちょっと笑うとその場を去った。



不思議な人…

でも何処か魅力的…







−これが流華と初めて話して思った事。




−そして
これが、私と流華の出会い。



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