指先の魔法
―――そこは医薬品の匂いに包まれたベッドの上だった
「カズマっ!カズマっ!!」
「ぅ…、ハルカ…?」
「カズマっ…!!」
ハルカと呼ばれた女性は涙を流しながらカズマに抱き着く
「…ちゃんと生き返った?」
カズマはハルカを抱き寄せながら自分の手を見てみると、そこには爪に塗られたハートが10個
「…ふっ…ぐず…カズマ…?」
「あ、あぁ…なんでもない」
カズマは我にかえると、ハルカをめいいっぱい抱きしめた
――カズマとハルカは婚約中だった
式もあと3日に迫った日、カズマは不運な衝突事故に巻き込まれ命を落としていた
カズマは即死だった
カズマの望みはただひとつ
もともと病弱なハルカ
すでにもう、いつまで生きられるかわからない
せめて、式だけでも
せめて、自分がしてあげれること
せめて、ハルカの望みを叶えたい
こんなところで、先に逝くわけには行かなかった
「ハルカ…ごめんな」
カズマは誰にも聞こえないぐらいの小さな声で呟いた