指先の魔法
「はい」
家主が微笑む
「おれ…なんでここにきたんだろう…」
「それはあなたが望んだからですよ」
家主はスコーンにジャムをのせながら聞く
「私の役目はあなたの心を助けることです。話してごらんなさい。3日前の出来事を」
そう言いながら少年にジャムをのせたスコーンを差し出す
スコーンを手にとった少年は一口かじる
甘酸っぱいジャムの後味は、少しお話したくなる作用があるのかもしれない
「おれ、モモっていうなかよしのおんなのこがいるんだ」
少年はぽつりぽつり話しだす
「モモは気がよわくて、ともだちもあんまりいなくて…
でもおれ、モモと遊ぶのだいすきなんだ。いじわるばっかりしてるけど、ほんとうにモモがすきなんだ。
あの日モモがお母さんにつくってもらった新しいブローチをつけてて、いじわるしてブローチをぬすんだんだ。
気付いたモモととりあいになって…そうしたら…ブローチをふんで…こわしちゃったんだ…」
少年は俯く
その肩は震えていた