世界の果てに - 百年の光 -
売れ、って…そう言った…?
「な、何言ってんのエル!」
「うるせぇな。俺なら売られたって、隙を見て逃げ出せんだよ」
ハン!とこれまた偉そうに鼻を鳴らすエルに、あたしは訳も分からず眉をひそめた。
「…そんなことしたって、君に得はないよね?」
エルの顔を珍しげにまじまじと見ながら、イーズくんが言う。
対するエルは、少し黙ってから、再び口を開いた。
「条件は、二つだ。俺たちの荷物を全部返すことと、俺を売った報酬の七割は、俺自身が貰うこと」
「………!」
イーズくんたちにとって、これは良い話なのか。
結局手元に来るのは、エルを売った値段の三割だけになる。
それでもイーズくんとケルンさんは、お互いの顔を見合わせて頷いた。
「じゃあ、訊くけど。君を売ったとして、どのくらいの報酬になるのかな?」
その質問に、エルは口の端を上げてニヤリと笑った。
「お前らが想像する値段を、遥かに超える自信はあるぜ」
本当に、その自信たっぷりの態度はどこからくるんだろう。
…それでもあたしは、嬉しかった。
だってエルの提案は、イーズくんとケルンさんを、助けると言っているように思えたから。