世界の果てに - 百年の光 -
イーズくんは驚いたように瞬きを繰り返したあと、可笑しそうに笑った。
それにつられたのか、ケルンさんも微笑む。
「いいね、乗るよその話!」
「こっちだって、乗って貰わなきゃ困るんだよ」
挑発するようなエルの態度。けど相変わらず、口元は笑っている。
「そうと決まれば、さっさとこの鉄の塊外せ」
「ハイハイ、分かったよ。ちょっと待ってて」
イーズくんは自分のポケットを探りながら、こっちに近づいて来る。
「…ねぇ、エル」
「あん?」
「あたしも一緒に売られれば、もっとお金に…」
「ふざけんな。お前がいたら足手まといすぎて逃げらんねぇよ」
心底嫌そうな顔をされ、あたしは思わずムッとする。
言い返そうと、口を開いたそのときだった。
「―――――あっ!」
突然の大声に振り返ると、冷や汗をかいているイーズくんと視線がぶつかる。
申し訳なさそうに、イーズくんは笑った。
「…手錠の鍵、どっかに落として来ちゃったみたい」
―――どうやらあたしは、まだエルと繋がれる運命にあるらしい。