世界の果てに - 百年の光 -
「なっ…!」
不意を突かれた国王がバランスを崩したのを見計らって、あたしはそのまま足場の外へ身を投げた。
「………!」
一瞬の内に、体が冷たい水に包まれる。服が水を吸って重くなり、両手は縛られていて泳ぐこともできない。
…といっても、あたしは元々泳げないからどうしようもないんだけど。
でもーーー…
必死に息を止めていたあたしは、突然凄い力で水面へと引き上げられた。
「ーーー〜こんの、バカ野郎っ!」
辺りに空気が戻った瞬間、降ってくる怒声と、目に飛び込んでくるオレンジ色。
あたしは咳き込みながらも、同じようにびしょ濡れになって目の前にいるエルと、その隣にいるアスティに笑いかけた。
「あはは、ありがとエル。アスティ」
「呑気に礼なんか言ってる場合か!」
「…二人なら、助けてくれるって思ってた」
素直な気持ちを口にすると、エルとアスティは同時に目を丸くした。
「あたしは泳げないけど。でも…エルとアスティが来てくれたから。怖くなんかなかった」
「……やっぱりバカだな」
「オレも同感。バカだね、リオ」
二人とも呆れたようにそう言ったけど、その口許は笑っていて。それだけのことが嬉しかった。
…でも、安心したのも束の間で、あたしの体はまた別の力で引っ張られる。