さとみみさと先輩
ゴスッ

鈍い音がした。

紙のボールは予想を超えて僕の頭にぶつかった。

「痛っ」

数秒の間があいたあと、紙が直撃したおでこに触ると水を触るような感覚があった。
周りにいた女子生徒が心配そうな顔で僕を見つめてる。

「木村くん、血が凄いよ・・・」

初めて女子から話しかけられた言葉が「血が凄い」だなんて。
しかも、結構かわいい顔の水野さん。

何故だ!
何故、紙のボールで頭が切れるんだ!

返ってきた紙のボールに触れると、確実に石が入っている。
おでこを抑えつつ窓の外に目を移す。

その女、 満面の笑み。

「御礼はいいよ!」

ピースが僕の苛立ちを増加させる。

「痛いし、お礼なんかしねえよ。」

その女、多分僕の声が聞こえていない。

「どういたしまして!」

ありえない

彼女は学校の中に消えていった。
僕は保健室の中に消えていく。

とんだ災難だ。
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