もう一度、隣に。
「──え、椎香…」
泰ちゃんはすごく驚いた顔をして、同時に買い物袋を落とす。
中からはお酒やお菓子が出てきた。
「あ、──ごめんね、何でもないから、」
やっとの思いでしぼりだした声。
あたしは全力で走ってきた道を、また全力で引き返す。
「おい、椎香!待てよ!!!」
そう言いながらあたしを追ってこないのは隣にいた彼女のせいだろう。
ひたすら走り続けてあたしは自宅のベッドにダイブした。
目をつぶると出てくるのはさっきの2人の姿。
何で泰ちゃんは、彼女がいるのにあたしのこと気にかけてるようなことを言ったの?
あたしの心の中は何だか説明のできない感情だけが渦巻いた。