もう一度、隣に。


「椎香に大事な話があるんだけど。」

真面目な顔で泰ちゃんが話す。
いつもと違う雰囲気がして少し怖い。


「な…何…?」


ふーっと一息つく泰ちゃん。


「俺、椎香のこと1年のころからずっと好きだった。

俺と付き合ってください。」


「……へ?うそ…。」


「本当。」


泰ちゃんは自分の手であごを触る。
照れてるときの癖だ。


「…あたしも、あたしも泰ちゃんが好きだったよ。

えっと…、よろしく…お願いします。」


「……よっしゃー!!!!!」


嬉しくて涙があふれたのと同時に泰ちゃんが叫んだ。

「俺本当すっげー嬉しい。まじ言って良かった…!」


喜ぶ泰ちゃんに、あたしは気になっていたことを聞いた。


「どうして…最近あたしのこと避けてたの…?」

「…作戦だよ。」

「作戦…?」

「美樹に椎香のこと相談しててさ。

押してだめなら引いてみようってことになったんだよ。

でも、俺が耐えらんなかったわ。」


「…耐えらんないって何を?」


「椎香と、話せないなんて耐えらんなかった。

しかも、椎香さっき泣いてたろ?

もうあれで俺はだめでした。
我慢できなかったわ。」


「…他の子とは仲良しなのにあたしには冷たくて、すごい悲しかったんだよ?」


「ごめん!もうこれからは絶対しない!」


そう言ってニッと笑った彼の笑顔はあたしの心にずっと残っている。


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