もう一度、隣に。


「はぁ~、」

美樹と別れて自宅に戻る。


大学3年の頃から1人暮らしをしているこの部屋で『ただいま』なんて言ったって誰からの返事もない。


そんな環境があたしを余計に寂しくさせる。


「お酒でも飲も。」

冷蔵庫からチューハイを取りだし飲む。


ふと目に止まったのは高校時代のアルバムやプリクラ。


パラパラとめくると、

『映画見た!』

と書かれたまだ付き合って間もない頃のあたしと泰ちゃんのプリクラがあった。

「懐かし…」


初々しい感じが面白くてクスクス笑ったけど、懐かしくて懐かしくて懐かしくて涙がこぼれる。


あのとき、なぜ彼の手を離してしまったんだろう。

─なぜ彼を忘れられないのだろう。

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