俺様男に心乱れて
「痛えなあ…」

亮介さんは顔をしかめて頭を摩っていた。

「ごめんなさい。でも、あなたが変な事するから…」

「だからって、客を殴るのはマズイだろう…? 『店長を呼べ』ってな事になるぞ」

「ですよね。ほんと、ごめんなさい」

亮介さんは苦笑いを浮かべていて、さほど怒ってはいないようだ。


「店長と言えば、あの二人…」

二人?

亮介さんの視線が私の後ろに向かったので私も振り返ると、マスターと健ちゃんが目を見開いて立ちすくんでいた。

あちゃー
今の亮介さんとのやり取りを、二人にしっかり見られちゃったんだわ…

私は二人に向かってえへへと笑ってみたけど、二人の表情は固まったままだった。

「なあ?」

「はい?」

亮介さんに呼ばれて振り向くと、亮介さんはまじめな顔に変わっていた。

「あの二人のどちらかが、琢磨って奴か?」
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