Twins ─俺の姉─



「お~い、そこの双子!!」


「あ、海璃君。」


ボサボサな黒髪に上につり上がった鋭い目。物凄いスピードとテンションでこちらへ突っ走ってくる。
俺の腐れ縁の一人、藤武海璃(フジタケ カイリ)だ。


「双子、今帰りなのか。仲良いのな!」


藤武にとって俺らは二人でセットらしい。小学4年からの付き合いだが、未だに名前を正確に覚えていない。

でも何故か俺達の男女区別が出会って直ぐの頃にちゃんと判っていたらしいのだからそこは驚きだ(今は咲綺に胸があるので誰でも判別出来る)。

そこが判るならば名前も覚えて戴きたい。
馬鹿なのか凄い奴なのか…。


「藤武、お前何で帰り遅いの?」


咲綺との時間を取られた恨みから、そんなことを口にする。藤武よりも先に、咲綺が答えた。


「また居残りだったんでしょう?」

「お、双子姉はすげぇな!数学の居残りだよ。」

「そういえば絹川(キヌガワ)がこんな時期に居残りが!って怒ってたけど、あれはお前か。」


絹川は数学の担当教師。キレやすいセンコーとして有名だ。俺もあんまり好きじゃない。

だが、今回ばかりは絹川に肩を持たざるをえない。期末テスト前に小テスト居残りとは。藤武には勉強になるが、テストを作製しなくてはならない絹川にとってはいい迷惑だろう。




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