Twins ─俺の姉─



「海璃君、勉強教えてあげようか?」


出た。


咲綺の良い人行動パターンその1。


【困った人に世話を妬きたくなる】


特に藤武に関しては、咲綺は毎日と言っていい程手を妬いている。
藤武も、それが当たり前であるかのように過ごしているのだから俺としてはあまり好ましくない。

「ホントか?いつもすまん双子姉!!」


名前をいい加減覚えてよ、と咲綺は冗談混じりに笑っている。


姉を取られた様な、好きな女を取られた様な。

二重の恨めしさがこのヒョウキン野郎に注がれる訳だが、相手が気付いていない。

助かる様な、気付けよ糞野郎と言いたい様な…微妙な心境だ。


このモヤモヤした気持ちを何処かへやりたくて、話題を変えた。


「なあ、藤武はクラスマッチ何するんだ?」

「クラスマッチ?もうそんな時期だっけ。」


駄目だ。コイツに話題性の期待をした俺、馬鹿決定。


「ああ、そうだよ。期末終わってからクラスマッチって今朝の朝礼で河童が言ってたろ。」


河童とは教頭の事だ。
何故[河童]か、説明はあえてしない。


「そうだっけ?まあいっか♪俺はサッカーだよ。」

「お前もか。俺もサッカーなんだ。」

「へえ、じゃあ二人のどっちが勝つのか見てみたいな。」


咲綺は楽しそうに言って俺と藤武の前を歩く。


「じゃあ咲綺、なんかご褒美くれよ。藤武も俺もやる気出る。」


自分の口から出てきた言葉に少しの期待と驚き、焦り。
藤武は少し驚いた顔をしたが、話に乗る。


「俺も欲しい、ご褒美♪」


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