秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
タマには、本当に悪いことをしたなと思っている。巻き込んでしまって、必要以上に傷付けてしまった。
 

悠平はカードを眺めながら思った。
突っ立っていた珠子は、先程と同じように静かに座り直した。
 

 
「やっぱり夏休み中にするんだな」
 

「……いつ?」
 

「8月10日。タマも、来てくれるか?」
 

 
悠平は珠子を見ないように俯いたまま、再び聞いた。珠子が小さく「うん」と頷いたのを聞いて、広げた弁当を片付けた。
 

早く、違う男のものになれば良い。
俺なんて、ただの生徒なんだから、先生は早く手の届かない存在になれば良い。
 

悶々と考えている悠平を、珠子は心配そうにして見ていた。
悠平は黙ったままカードを封筒の中にしまい込み、折れたり汚れたりしないよう、そっと丁寧に、鞄へ収めた。
 

 
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