秘密
 

SIDE.今野珠子
 



 
「かおちゃーん」
 

「何、たまー」
 

 
夏休みが始まり、珠子は自宅でのんべんだらりと過ごしている。
珠子の兄の薫は、バイトやバンドの練習がない時間帯はいつも珠子と過ごした。
 

バンドの練習を終えた薫が帰宅し、リビングでテレビドラマの再放送を見ていた珠子の側に腰を落ち着けたところだった。
 

 
「近々結婚式に出席する予定があるんだけど、何着て行けば良いかな……」
 

「結婚式!?何、誰の?」
 

 
何を慌てているのか、薫は驚いて身を乗り出している。珠子は困ったように溜め息を吐いて、学校の教師が結婚することを告げた。
 

 
「ああ、何だ、驚いちゃったよ……。結婚式か……、たまはまだ高校生だから、あんまり派手じゃないワンピースが無難だと思うけど」
 

「ワンピース?」
 

「ちなみに俺の好みはねー、ピンクでフワフワしたこんな感じの、」
 

 
身振り手振りで薫が自分の好みを珠子に伝えようとしている。
珠子は呆れたようにそれに頷いていた。
 

 
< 106 / 114 >

この作品をシェア

pagetop