秘密
 

SIDE.今野珠子
 



 
「結婚式って、生徒全員が出席するの?」
 

「ううん。それは無理だから、代表みたいな感じ」
 

「そうかー……。……たまもいつかお嫁に行くのかなあっ!」
 

「うわ、何?気持ち悪い……」
 

 
急にさめざめとし始めた薫は、何故か妙に過敏になっているらしい。
薫のシスターコンプレックスはいつものことなので、特に何も思わず珠子は適当に流しておいた。
 

結婚式が迫っている。
珠子自身も、幸せになる為にけじめをつけなくてはと考えるようになった。
 

けれどきっと、悠平は好美を好きで好きでやまないのだろう。
それは側で見てきた珠子が理解できる、唯一の悠平の本心だった。
 

 
「たま可愛いー」
 

「本当に?ありがとう」
 

 
そうして、淡々と過ごしていると結婚式当日がやって来た。
悠平とは駅で待ち合わせることにした。散々薫をあしらっていた珠子も、やはり薫が言うように桃色のワンピースを着ることにした。
 

 
「それじゃあ行ってきます」
 

「早く帰ってきてねー」
 

 
薫の伸ばした語尾が、何故だか心地よかった。
 

 
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