秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
悠平は、着替え終えていつものように髪を立たせると、珠子と待ち合わせをしている駅に向かった。
あの白い封筒の中身は招待状のようなものであって、それもちゃんと持った。
 

夏休みに入ってから、悠平は珠子と何度か会っている。一緒に買い物をしたり、映画を見たり、たまに珠子が部屋へやって来ては悠平に料理をご馳走した。
悠平は会う度にこれが世間一般で言う高校生のカップルか、などと思った。
 

好美と会わなくなったことで生まれた暇を、どうにか珠子で埋めようとした。
そんな情緒不安定な悠平に、珠子はいつも変わらず接していた。
 

暫く歩いて駅が近付いてくると、桃色のワンピースが見えた。
それはこちらを向いていて、近寄ってみると珠子だと確認できた。
 

 
「おはよう、門田君」
 

「……はよ」
 

「封筒は忘れてない?」
 

「ああ、持ってる」
 

 
二人は肩を並べて歩き出した。
待ち合わせた駅からは、電車ではなくバスを利用することにした。
 

悠平は珠子のワンピース姿が新鮮で、ソワソワと落ち着かないでいた。
 

 
< 108 / 114 >

この作品をシェア

pagetop