秘密
 

SIDE.雨宮好美
 



 
門田君は私がお弁当を渡した時、とても驚いていた。
 

困っていたのでしょう。
けれど、悪いのは今野珠子。
 

どうして門田君は、私がいるというのに他の女を彼女という名前で縛るの。
どうして。
 

好美の心には嫉妬しかなかった。
そしてそれは今も積もるばかりである。
翌日好美は、いつものように非常階段へ座り込んだ悠平の元へ行った。
 

 
「門田君」
 

「先生、どうしたの」
 

「どうして……今野さんなの」
 

「どうしてって……」
 

 
好美の急な質問に、悠平は少し困惑した表情を見せた。
好美はそれにまた嫉妬した。
 

 
「先生?」
 

 
好美の目には無意識に涙が溜まっていた。
悠平は驚いた。
 

どうして涙が出るの。
おかしい。
私が取り乱してはならない。
格好悪い、情けない。
 

 
「先生、泣くなよ」
 

「門田君」
 

「俺が本当に好きなのは、先生なんだって解ってるんだろう」
 

「本当に?」
 

「当たり前だろう」
 

 
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