秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
今教室にはタマがいない。
どこに行っているのだろう。
 

あの後悠平は一人で教室に戻った。
気分が良いので何のためらいもなく、珠子と恋人らしい振りができると思った。
 

悠平は、いつまで経っても教室に戻って来ない珠子を捜しに教室を出た。
それはもう放課後のことであった。
 

 
「電話っ、あっ……」
 

 
俺、タマの携帯の番号知らない。
 

悠平は自分を間抜けだと思った。
それと同時に、見つけたらすぐに聞いておこうと思った。
 

 
「まずは」
 

 
非常階段だなと思い、悠平は歩き出した。
 

 
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