秘密
SIDE.今野珠子
ふと、珠子の意識が戻った。
あれからずっと珠子は非常階段に腰を掛け、壁にもたれて眠っていた。
「今何時っ……いたた」
長時間座り込んだまま眠っていたために、体が悲鳴をあげている。
珠子はゆっくりと携帯電話を取りだして時間を確認した。
「えっ、嘘」
もう授業は全部終わってる、かなりさぼっちゃったな。
珠子は今更ながらに後悔をした。
それから悲鳴をあげる体を伸ばした。
「タマ」
「!」
珠子は声のする方を見て、動揺した。
なんでいるの、こんな時に。
珠子は目を伏せた。
「お前、どうしてこんなにさぼってるんだよ」
間違いなくあんたのせいだと珠子は密かに思い、悠平とは目を合わさないでいた。