秘密

　

SIDE.雨宮好美
　



　
どうして今野珠子にこのような話をしようと思ったのか、それは好美にも解らなかった。
その半分は、二人の間に珠子が入れるような隙間はないと思い知らせるつもりでだった。
　

あとのもう半分は？
　

　
「その婚約者とはね、大学の頃から付き合っていてもう５年の関係なのよ。ついこの前プロポーズされた」
　

「……」
　

「でもね、その時にはもう既に門田君とそういう関係になっていたの。一目で恋に墜ちたようだったわ、彼に出会った時。でももう遅過ぎたのね」
　

　
５年も付き合っている婚約者の彼を裏切り、門田君と付き合うだなんてことは私にはできなかった。
　

私が教師に成り立ての頃、毎日元気をくれ続けていたのも事実だからだ。

結局そうして私はプロポーズに応えた。
　

　
「門田君との関係も、結婚するまでにしようと割り切ろうと思った……。けど実際はそんな安易なものではなかったのよ」