秘密
SIDE.雨宮好美
だから邪魔をしないでね。
結局私はそう言いたかったのよ。
こんなにも不安定な私には、彼だけではなく門田君も必要なのだから。
邪魔をされては適わない。
「そういうことだからあまり門田君に近寄らないで。それからあまり自惚れないことね」
先程の自嘲気味な笑みはどこへやら、好美は冷たく珠子を見ると音楽科準備室を出て行った。
今頃になってこの音楽科準備室には煙草の匂いが充満しているなと珠子は思った。
喉が乾燥して堪らない。
「煙草……」
そういえば、と珠子は思い返していた。
悠平に抱き締められた時これに似た匂いがしたような記憶に少し戸惑いながら、珠子は準備室を出た。
「ふう」
珠子が完全に姿を消したあと、好美は再び準備室へ戻り新しい煙草に火を付けた。