秘密
 

SIDE.今野珠子
 



 
珠子が悠平の為に作ってきた弁当を渡したのは、半ば自棄になったからである。
 

せっかく作ってしまったものを腐らせたくはないし、もし悠平が弁当を買いに行くようならば無理に出費しなくとも良いのだと、何となく思ってしまったのだ。
何となく、という割りにかなりの勇気が必要だったことは言うまでもない。
昨日珠子は、悠平に心許無いことを言って叱られたのだ。
 

 
「美百合、ただいま」
 

「あら。今日は門田君と食べないの?」
 

「うん、良いの。お弁当はちゃんと渡してきたから」
 

「……そう」
 

 
珠子は気まずくなって、不思議そうに頷く美百合に弁当を食べるよう促した。
 

悠平が自身の席で珠子の弁当を開けているのを、珠子はこっそりと見ていた。
 

 
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