秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
悠平は放心状態だった。
目の前には、先程珠子に渡された弁当箱がある。丁寧に包まれた弁当箱がある。
 

 
「……」
 

 
悠平はそれを暫く眺めていた。
本当に自分が開けても良いものなのか、戸惑っていた。そんな風に悩みながら、珠子の方を向くことができないでいる。
 

 
「悠平、今日は一人なのか?」
 

 
気が付くと、悠平の側にハジメがいた。
ハジメは弁当箱を覗き込んでくる。
 

 
「一人なら、俺と一緒に食おうぜ」
 

 
ヘラリと微笑むと、ハジメは悠平の机の近くにある椅子を引っ張って寄せ、ドカリと座った。
 

それから鼻歌を歌うように自身の弁当を開け始めたハジメを、悠平は見ていた。
そうしてゆっくりと、悠平は珠子の作ってきた弁当を開けようと手を机上へ伸ばした。
 

 
< 51 / 114 >

この作品をシェア

pagetop