秘密
SIDE.今野珠子
珠子は、悠平がのそりと弁当に手を伸ばしたのを見て安心していた。
ハジメがいるおかげかもしれないが、自分の作った弁当をちゃんと食べてくれるのだと、嬉しくなった。
「珠子?」
「えっ!ごめん、何?」
「特別何かあるわけじゃないけどね、あまりに呆けているからどうかしたのかなと思ってさ」
ごめんね、何でもないの、珠子は心配そうにする美百合にそう返して、悠平の弁当の片割れに箸を付けてゆく。
「またぼんやりしてる。門田君と喧嘩でもしたの?何かあったら言いなよ」
わざわざ心配してくれている美百合に、珠子は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
いくら珠子にとって大切な友人の美百合でも、珠子はこの真実を誰一人として打ち明けることはできない。
打ち明けようとは思っていないのだ。