秘密
SIDE.門田悠平
今日もコンビニに行くの?
という好美からのメールは、つまり「今日の昼食はどうするのか」ということだ。
真意を知ってしまうと返すことができなくなる。
今日は自分で弁当を作ってきたんだと言えば、好美には不思議に思われる。
それくらい、悠平は普段弁当を作ってくることがない。
自炊をするのは休日や時間のある夕方だ。
「……」
教卓の上に積んだ、たくさんの資料を忙しなく持ったり眺めたりしながら、社会科の教諭は黒板に向かって語りかけていた。
その子守歌すら、悠平の耳には届かない。
好美には嘘を吐きたくない。
その反面、好美を傷付けたくない。
悠平の心の底の奥深くで、それは一つの葛藤となった。
暫く携帯電話のディスプレイを眺めた後、悠平は新規作成となっていた好美宛てのメールを削除した。
それから携帯電話をポケットに収めて、好美には「充電が切れていた」とでも言っておこうと決めたのだった。