秘密
SIDE.雨宮好美
校長の声はとても穏やかで、それを聞いているだけで、ソワソワと先走りしている気持ちが和らいだように思う。
好美のことだと聞いて、何だ、どうしたと橋本が目を光らせている。
「この夏休みいっぱいで、雨宮先生は産休に入られます。実は半年前から私共は知っておりましたが、ようやく公表しようと雨宮先生が言われました」
ザワリ、と会議室が揺れた。
橋本はというと驚きよりも失望の気持ちの方が大きいらしく、ぽかんと口を開けていた。
校長に代わり、好美が話し出した。
「黙っていて申し訳ないです。結婚が決まっておりまして、その準備もあります。産休を終えてまた教員を続けるかは判らないので、一度は退職という形を取らせて頂きます」
周囲からしてみれば、だから橋本のあからさまな誘いをかたくなに断っていたのか、という納得の気持ちが強い。
橋本だけが肩を落とし、職員会議は終了した。