秘密
SIDE.門田悠平
タマを、好きになれば良かった。
そうしたら、すべてが上手くいっていただろう。最近ではそう思うようになった。
悠平は、どうしよう、と思い悩んでいた。うっかり勢いで、珠子を抱き寄せてしまったからだ。
いつもなら、仮にも恋人なんだからこれくらい普通だと言ってしまうところだが、どうにもそういう気分ではなかった。
珠子は大人しく悠平の腕に収まっている。
「……タマ」
「なに?」
「タマ、は、俺のこと好きじゃないよな」
「……は?」
急に口から出たその言葉に、悠平自身が驚いていた。そんなことを考えていたわけでもないのに、ポロッと本音が出てしまったらしい。
言い終えてから、困った。
嫌いだと言われたらどうしよう。
そう思ったからだ。
「……あたしは、好きでもない人と、一緒にいはしないっ」
「……あは、そっか」
悠平の少し乾いた笑いが、部屋の閑散とした雰囲気を引き立てていた。