秘密
SIDE.門田悠平
あの後悠平は、珠子を自宅まで送った。珠子は悪いからと遠慮したが、悠平は酷く機嫌がよく、送ると言って聞かなかった。
先生のことはもちろん好きだ。
でも、タマのこともそれくらい大事になり始めたのかもしれない。沢山泣かせてきたのに、虫がよすぎるかもしれないけど。
悠平はそんな風に感じ始めていた。
酷く気分が良く、早く月曜日になって学校へ行きたいな、珠子の作る弁当が楽しみだ、などと思いながら、自宅へ向かって歩いていた時だった。
「ごめんなさい、部活が少し延びたの」
「平気だよ。何か食べる?レストランにでも入ろうか」
聞き覚えのある女性の声が、聞こえた。
まだ車道にはかなりの車が行き来しているし、電話をしながら歩いている人や寄り添いう恋人達も溢れている。
それなのに、そんな雑踏の中でも聞こえてきた、「好きな人」の声。
悠平が振り向けば、吹奏楽部の休日の活動の指導を終えたらしい好美が、婚約者と落ち合う場面が見えた。