秘密
SIDE.門田悠平
もう直結婚する恋人の二人は、きっとこれから恋人の休日を楽しむのだろう。
悠平は、人込みに紛れて見えなくなってゆく男女を見ながら、ゆっくりと歩き始めた。
せっかくの日曜日も、何をして過ごしたのか分からない。気が付けば、既に月曜日がやって来ていた。
「門田君……、門田君?」
「……あ、何?」
珠子が何度となく話し掛けたが、その反応はとてつもなく遅かった。
珠子はそんな悠平の反応に不思議そうにしながら、弁当を置いた。暑い間は冷房の利いている教室で昼食を取るのは、相変わらず続いていた。
「今日はねー、いつもより卵焼きが綺麗に焼けたんだよ」
「そうか?……いつも普通に旨いのに」
「作った本人が言うんだから間違いないんだってば!」
珠子はとても機嫌が良い。
そんな珠子と一緒にいることで、悠平もなんだか気分が優れた。
悠平は絶品の卵焼きに感嘆の言葉を漏らすと、早々に弁当を食べ終えた。
それから、珠子を連れて非常階段へ向かうことにした。