電話越しの君へ


それからしばらくして、綾瀬が唐突に言った。



『……ねぇ、その子が杉本のこと怖がってないといいね?』



怖がる?
お前が俺を?



「そんな女じゃねーよ」



綾瀬は。



『…うん。じゃなきゃ杉本が好きになんてなってないよね』



まるで太陽に雲がかかったかのように、綾瀬の声がしぼんでく。



……あ、そうか。



こいつ俺が綾瀬が好きなの知らないんだ。



消え入りそうな声に胸が締め付けられる。



いくら強がってても、ふとした瞬間に綾瀬が俺を好きなのが端々から感じられる時がある。



今が、それだ。



「なぁ、綾瀬。
お前気付いてるか?」



『……え?』



俺がお前を好きなこと。



『なに……?』



「なんでもねぇ。」



『ちょっと!気になるじゃん』



「なんでもねぇって」



『…ふーん。じゃあ切るから』



「おー
じゃあまた明日な。…おやすみ」



『おやすみ、杉本』



ピッ…



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