電話越しの君へ
「ぷっ……じゃあお前、フラれたんじゃん?」
その日の夜、仲間がちゃんと告白を取り消したかを確かめるため、俺は綾瀬に電話した。
『うるさい。……でもホント何だったんだろ。さすがに戸惑うっていうか傷つくっていうか。』
…傷ついたのか。
罪悪感が胸をよぎる。
でも、何もしないで仲間と綾瀬が付き合ってしまうよりマシだろ。
あえてその罪悪感には目を向けないようにする。
『……まいーや、どうせ理由はわかんないし。』
黙っていたら、綾瀬が諦めたようにそう呟いた。
「…やけにあっさりしてんな」
少し冷めた風にも思える声音に俺は多少安堵する。
『ま、別に好きだったわけじゃないしね』
その声を聞きつつ俺は思う。
こいつはいつも、そうだ。
恋愛系の話になると、自分のだろうが俺のだろうが途端に冷めた口調になる。
まるで自分に恋愛なんて関係ないと言わんばかりに。
それがこいつの精一杯の強がりで、俺への気持ちを悟られまいとするための行為だと、そう思ってしまうのは俺のエゴだろうか。
「…俺、お前のそーゆー冷めたとこ好き」
そして、そんな綾瀬を愛しいなんて思ってしまうのも、俺にとってはもう仕方のないことなのだ。