電話越しの君へ
「杉本、ちょっと来い」
担任の津久井が、騒ぐ教室をそのままに廊下に俺を呼び出した。
「………なんっすか」
ぴしゃっと重い扉で教室を遮断すると、別空間のように静かな空気が廊下には流れていた。
ウチのクラスも他のクラスの騒ぎ声も、今やどこか薄いフィルターがかかったようにしか聞こえない。
「…どうしたんだ、
あの点数は」
何が、なんて今更すぎて聞けず、ただ黙る。
「………わざとだろ」
答えない俺にため息をついて、まだ若い数学教諭は後ろ首を掻いた。
「じゃなきゃ45位から、いきなり280位になんてなんない」
「……そっすかね」
「そうだ」
やけに厳しい表情に俺は笑って
自分と同じくらいの背丈の男を真っ直ぐ見た。