空白の時間=友情>愛情

空虚

海で賢二は泣いていた。

あのときオレはなぜ、賢二に涙のわけを尋ねなかったのだろう。

オレは賢二を守ると誓っていたのに。



警察官が言うには、賢二の足取りはオレと別れた直後から全く掴めないそうだ。

警察官たちは、別れる前に何か変わった様子はなかったか…しつこく尋ねた。

「いつもと変わりませんでした」

「君とはとても仲がよかったらしいから、連絡があったらすぐに知らせるんだよ」

「はい、わかりました」



いつかオレにだけは連絡があるに違いない!

そう、信じていた。



携帯電話をぼんやりと見つめる日々。

寝るときも携帯電話を握って寝た。



あの涙は別れの涙だったのではないか…。

オレにだけは連絡があるはずだ…。



賢二はきっとひとりで苦しんでいたんだ…。

なぜオレにも言えなかったんだ…?



何も手につかず、やる気がおきなかった。

いつもピンクの貝殻をぼんやりと見つめていた。



高校三年の夏はただ時間だけが虚しく過ぎていった―。
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