空白の時間=友情>愛情
愛に飢えた少年

出生

「ボクは生まれてはいけない子だったんです」

そう言った翼の表情に賢二を垣間見た…。



「何を言うんだ!広沢…」

オレには翼の真意がわからなかった。



「先生は赤ちゃんのボクに会ってませんよね?」

「ん?」

「兄が失踪したのは12年前で、ボクはそのとき3歳です。当時、先生はよくこの家に遊びに来ていたはず。ボクに会っていても不思議はないでしょう?」



そうだ!

賢二に弟がいることをオレは知らなかった…。

賢二の口からも弟の話は一切聞かなかった…。

何かがおかしい…。



オレは黙って翼を見つめた。

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