空白の時間=友情>愛情

激昂

オレは頭が混乱して、翼の話をさえぎった。



「広沢…ちょっと待ってくれ」



「先生、大丈夫ですか?」

「ちょっと整理させてくれ。お前が賢二の子供ってどういうことだ…」

喉がカラカラに渇いていた。



「ボクにとっては父親ですが、賢二兄さんと言いますね。兄は中学生の頃、両親に自分がゲイであることをカミングアウトしました…。激昂した父は兄をひどく殴ったそうです」

翼はまっすぐにオレの目を見ながら続けた。

「もともと気に入らないことがあったり、酒に酔ったときは兄の母親に暴力をふるっていたようです。それが賢二兄さんにも向けられるようになった…」

「なんてこと…」

「長男の隆一兄さんは高校から東京にいたので、この事実を知ったのはずいぶん後だそうです」

オレは自分を落ち着けるため時々、深呼吸をしながら翼の話を聞いた。
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