空白の時間=友情>愛情

殺意

「父の暴力は特に兄の母親に対してひどかったらしいです。“お前のせいでこんな子供が生まれた”と兄の母親を殴りつける父に兄は、たびたび殺意を覚えたそうです」

オレは涙が溢れて止まらなかった。

「やがて父は公然と浮気をするようなり、兄の母親は精神に異常をきたしたそうです。父は離婚直後にボクの母と再婚します」

オレは涙を拭うことなく、翼の話に聞き入っていた。



賢二がそんな中学時代を過ごしていたとは…。



「ゲイであることを病気だと決めつけていたのでしょう。“病気を治すためだ!!”と、あろうことか父は嫌がる兄に無理矢理自分の妻、つまりボクの母とのセックスを強要することもあったそうです」

「なんてことを…」

涙も止まらなかったが、同時に激しい怒りが込み上げてきた―。
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