空白の時間=友情>愛情

恋人

賢二からゲイであることをカミングアウトされた衝撃と打ち明けてくれた喜びの狭間で、しばらくは気持ちの整理がつかないオレだった。

数日後、家に遊びに行ったとき、賢二の部屋でオレは切り出した。

「なぁ、賢二」

「何?」

「こないだのあれ…あの…男が好きって話…」

「どうした?」

「いつから?」

「何が?」

「だから、男を好きになるのはいつからなんだよ?」

「ずっと前からだけど、何で?どうだっていいじゃん」

「いや…ごめん。だから…その…つまり…ん?」

次の瞬間、賢二の唇によってオレの唇はふさがれていた。

「男を好きってのは、こういうことだよ!」

「何すんだよ!!ふざけるなよ!!」

「びっくりした?まさかファーストキスとか?笑」

「ばか、そんなわけないだろ!!」

こうしてオレのファーストキスは賢二に奪われた。



「や、柔らかいな…賢二の唇」

「やっぱりファーストキスか!!笑」

「違うって言ってるだろ!!」

「オレ、直紀のこと好きだよ!」

「ふざけんな!!」

「ふざけてないよ!だから…もう一回…」

再び唇は奪われ、オレは“男”に恋してしまった。



その日から賢二は親友であり、恋人になった。
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