空白の時間=友情>愛情

葛藤

賢二の家庭環境は複雑で、コンサルタント会社を経営しているという親父さんは数年前に二度目の再婚をしたばかり。

賢二と大学生のお兄さんも腹違いの兄弟らしい。

いつもは笑顔を絶やさないが時々、遠い目をして物思いにふけるような少年だった。



賢二とは二年から別々のクラスになった。

しかし、仲のよさは相変わらずで口の悪い友達からは「お前ら、ホモじゃねぇのかよ?」と、からかわれることもあった。

『アイツ、意外に鋭いな!!』

『いちいちそんなことメールして来んな(^^ゞ』



賢二はたまに物憂げな表情で、「なぁ、オレが居なくなったらどうする?」と尋ねることがあった。

「寂しいに決まってるやろ!」とか「そんなの考えられない!」いろいろ答えてみるのだが…賢二はいつも「ナオは優しいね」とニッコリ笑って、話題を替えた。



自分のことはほとんど話さないし、オレも詮索はしなかった。

賢二の心に深入りすると、今の関係が壊れてしまいそうな気がしていた。

ただ、「コイツを守りたい!」と心底思っていた。
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