空白の時間=友情>愛情

決別

賢二は直紀宛のメールを作成しては消していた。

やがて「フーッ」と大きな溜め息をついた。

クリアキーで全ての文章を消すと…短いメールを作成し、送信した。



きっと明日が最後のキャッチボールになるだろう。



夏休みに入ってナオと海で最後のデートをする…。

それを最後にボクはこの町を出る…。

さようなら、ナオ…。



海でのデートは最高に楽しかった。

偶然見つけた貝殻は、きれいなピンク色をしていた。

しかも、ハート型なんてめったにあるもんじゃない。



神様っているんだな…。



ナオは何も言わずにオレを抱きしめてくれた。

ありがとう、ナオ…。

そして、さようなら…。



駅前で小さくなっていく直紀の姿を見つめ、その姿が視界から消えると…賢二はコインロッカーから荷物を取り出し、改札口へと向かった。
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