空白の時間=友情>愛情

教室

体育館ではバレーボール部がスパイク練習の真っ最中だった。

「中には入らないよ」

「何で?」

「翼の姿を見るだけでいいんだ」



賢二は窓越しに黙って翼を見守った。



やがて、振り返って直紀に微笑みかけた。

「いいスパイク、打つじゃないか」



賢二は歩き出した―。

「いいのか?」

「会わない方がお互いに幸せだ。オレたちが一年だったときの教室に行こう」



教室に入った賢二は、14年前にタイムスリップしたように…はしゃいだ。



「オレの席はここだった。ナオはオレの真後ろ。懐かしいなぁ…」

賢二は元の自分の席に座り、直紀に席につくよう促した。

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