空白の時間=友情>愛情

感謝

「賢二…」

「ナオ、ありがとう。ナオとの思い出がなければ、この12年間は生きれなかった…。父親への復讐も果たした。オレはこれから新しい人生を生きる!!」

「そうか…親父さんの死は、もしかしてと思っていたが…」

「過去は全て清算するよ。忌まわしい記憶も…ナオとの楽しかった時間も…」

「賢二、これを受け取ってくれ!」

直紀はポケットから小さなケースを取り出し、賢二に渡した-。



「もしかして…」

賢二はケースを開くと小さく笑った。



「決心が鈍るようなものを渡すなよ…」



ふたりは溢れ出る涙が枯れるまで泣いた-。



1時間後…12年前とは逆に直紀は、改札に向かう賢二の姿を見送っていた。

賢二は振り返ることなく、しかし手には貝殻の入ったケースを握りしめ…雑踏の中に消えていった。



-さようなら、賢二…。



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