空白の時間=友情>愛情

裏側

かなりの長文メールなのか…携帯電話に向かって激しく親指を動かしていた賢二は、「フーッ」と大きな溜め息をついた。

やがて、クリアキーで全ての文章を消すと…短いメールを作成し、直紀に送信した。

7月10日の午前2時だった。

『ナオ、明日はグローブ持って来いよ!久しぶりにキャッチボールしようぜ!!』

すぐに返信が帰ってきた。

いつものセリフで返信した。



大粒の涙が頬をつたったが、それを拭おうとはしなかった。

あんなに優しく純粋な直紀を巻き込むわけにはいかなかった。



その日の夕方、数ヵ月ぶりに直紀とキャッチボールをした。

―もう、これが最後のキャッチボールかな…。

肩を並べて座り、川面を見ながら話した。

―やっぱりナオはいいヤツだ…。

海に行く約束をしたが、キスはしてくれない。

―そりゃそうだ…。

「ナオは優しくねぇな(笑)」

顔を見合わせて大声で笑った。



―ナオ、お前は最高に優しいよ!!
もっとずっと一緒にいたいよ…。
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