強欲な女
潤は次の日仕事があるからと終電間近の電車で帰って行った。



「潤…………。」



潤が帰った後の一人はすごく寂しかった。



布団に入っても寂しくて昔の楽しかった頃を思い出した。



まだ私が小さい子供だった頃。



父と母と姉と旅行で行った海。家族みんなでよくやっていたトランプ。給料日に食べに行った回転寿司。



あんなに嫌いだったのに、あんなに嫌われていると思っていたのに……。



思い出す家族の顔はみんな笑っていた。



今思い出すのは私に笑いかけている家族の顔。



あの頃に今戻れたら………。



私はいい娘になれるだろう。



こんな事を思っても結局後の祭り。



せめて嫌いなままでいられたら楽だったのに………。



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