俺だけのお姫様

『とりゃーっ!』

家から持ってきたほうきを振り回しながら、少しずつ犬に近づいていく。
豪快な割に、慎重に動いていた幼い少年。

やっと目の前まで来て、ほうきを振りかぶったとき、

『ふわぁぁー』
『んぎゃー!!』

突然の大あくびに驚いて、思わず後ろに全力疾走した。
大きく開かれた口、その中に並ぶ鋭い歯。

それにかなりビビった俺は、ほうきもその場に放り投げて、逃げ出した。

ああ!!大変だ!
これじゃあ、ほうきが取りにいけない!

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